「問題解決」という言葉がある。気をつけなければならないのは、その「問題」が、しばしば過去のシステムや物語を前提として設定される場合があることだ。鉄道の使命は、人びとを速く安全に運ぶことだという。乗客数の減少(=問題)は事業の傾斜を意味するから、それを増加に転じるための方策を考えようという。しかし、テレ・カンファレンスが当然となり、人びとの外出頻度や移動パタンが変化したらどうなるか。問題発見ないし問題設定とは、過去の延長上にある古い問題を解くのではなく、あるいは旧来の物語のなかで思考するのではなく、むしろ新しい機会と物語を発見することを含意している。短期的な危機への対応に終始しないためにも、ときどきは思い出しておきたい。
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