複雑かつ流動する世界のなかで, 社会を支えてきた多くの前提は揺らいでいる. 高度成長期に確立された思考枠組みと用語群では, 今日の現象や, 今後の方向を見通すことはできない. 何をどう捉え, どう判断するかは, ことばの選択と配置に左右される.
明治維新以降, 日本は近代社会の提起する課題に応えてきた. 企業, 行政, NPOも新しい課題に取り組んできた. いま私たちは, その枠組み自体を見直す局面にある.
このような転換期にあって, 社会の諸領域——事業, 行政, 医療, 福祉, 文化, 学び方や働き方——で前提の再考が進んでいる. これまでの成功を磨き上げることでは足りず, 新しい条件のもとで何を始めるかが問われている.
この状況のもと, 人びとは知と経験を手がかりに, 既存の見方では捉えきれない事態に向き合っている. 21世紀の新たな条件と, それをどう名づけ, 捉えるかに関わることば. その双方を起点として, 判断と構想を支える前提の再編が各所で始まっている.
前提を問い直すこと. その作業は, ことば・言語・記号の選択と配置を通して, ものの見方と社会のこれからに作用していく.
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