丹下健三が唯一造った個人住宅が自邸だった。〈成城の家〉と呼ばれるこの家は、建築として実験的試みもなされたが、そこはデザイン界や美術界からもアヴァンギャルドな人物たちが集まる特別な場所となった。矛盾と葛藤を包摂しようとする複雑でアンビヴァレントな場所だったからこそ、そこは特別な場所になったのだった。