「医学の大半は社会学ですから、せめて教養学部の時代は社会勉強をしてもらいたいですね」そういった私に、某国立大学医学部のカリキュラム委員長は首を振った。「だめですよ、先生。医学部に入った以上、医学の勉強をしてもらわなければ」
結局、その大学では、教養学部の2年生から解剖学を教えることが決まった。私としては19歳の若者に解剖学など教えても意味がないと確信しているのだが、どうも日本では説得力に欠けるらしい。アメリカで私が教えたメディカル・スクールの学生のほとんどは、教室で習ったことなど何もおぼえていなかった。それなのに、病院で責任をもたせて患者さんを任せると途端におぼえてしまう。インターンをはじめて1年もすれば、もう一人前の口をきくようになる(中田 力)
これはじつは新しい学習パラダイムをよく表すエピソードになっている。
関連情報:
◉ エンパワリング (ARCHIPELAGOs 00004)
◉ Becomingとしての人間 (ARCHIPELAGOs 00091)
◉ 7つのCs (ARCHIPELAGOs 00060)
◉ Z. ZPD ( Zone of Proximal Developmentt )
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